法律コラム

 

「過払金」って何?

Q.消費者金融からの借入れに関し、「過払金」という言葉をよく聞きますが、これは何でしょうか。


A .金を貸し借りする契約のことを「金銭消費貸借契約」といいますが、この消費貸借契約に基づく利息については「利息制限法」という法律で、制限を設けています。消費者金融などでよく利用される10万円から100万円までの借金については、年利18%までしか取っていけないことになっています。
 

 ところが、かつては、利息制限法で定められた制限を超えて利息を取っても処罰はされなかったことから、「グレーゾーン金利」などと呼ばれ、多くの消費者金融業者が「グレーゾーン金利」を取っていたのです。
 

 他方、「グレーゾーン金利」については、1960年代から、最高裁判所の判例で、これを「元本に充当する」ことが認められていました。つまり、利息として取ってはいけない部分については、処罰されないものの、法的には元金に対する支払いとして扱われるわけです。こうすると、みかけの債務残高よりも、法律上本当に払わないといけない債務残高が低くなるという状態になることがあり、法律上は既に元金を含めて返し終わった状態であるのに、さらに返済を続けてしまうケースも出てきます。このようにして、全額返済後に払われたお金は金融業者の「不当利得」であり、これを払い過ぎたお金という意味で、「過払金」と呼んでいるのです。
 

 ところで、消費者金融からの借り入れでも、利息制限法の範囲内の取引であれば、過払金は発生しません。他方、現在は利息制限法の範囲内の金利であっても、過去に高い利息を払っていたのであれば過払いの状態になっているケースもあります。
 

沖縄弁護士会
会員 横田 達
 
※琉球新報2012年8月21日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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