Q.沖縄弁護士会が普天間基地へのオスプレイ配備反対の取組みを行っているのはなぜですか。
A.弁護士法は、弁護士に「基本的人権の擁護」と「社会正義の実現」という使命を課しています。弁護士会は、その使命に基づき、個別の法的紛争解決にとどまらない公益的な人権擁護活動を行っており、その一つがオスプレイ配備反対の取組みです。
オスプレイの普天間基地への配備は、県民の安全を脅かすという点で最大の人権侵害です。さらに、配備過程で明らかになったことは、日米地位協定が市民の人権保障にまったく配慮していない、という法制度の不備です。
日本政府は、オスプレイ配備は事前協議の対象ではなく米軍の権利だ、として配備中止を求めようとしませんでした。日米安保条約締結と同時に日米両政府が合意した「事前協議」制度は、米軍の配置や装備に重要な変更があるときには日本から協議を求められる、というものです。しかし、日本政府はこれまで事前協議制度の対象を具体化する交渉を怠ってきたため、この制度が有名無実になっているのです。
オスプレイは早速沖縄県内で危険な飛行を繰り返しています。これは、低空飛行を禁止する航空法の規定が米軍には適用除外とされていること(航空法特例法)、地位協定では米軍に提供する施設区域の定めはあるものの、訓練演習の場所について何らの規定もなく野放しにされていることによるものです。軍事活動による人権侵害に対しては、日本側からノーといえる仕組みを地位協定に組み込むことが必要です。
沖縄弁護士会では、地位協定の不備について法律家として改正の提言をしていくとともに、県民の人権擁護の観点から引き続き県民とともにオスプレイ配備撤回のために活動をしていきます。
沖縄弁護士会
会員 加藤 裕
※琉球新報2012年10月16日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。