法律コラム

 

法教育ってなんだろう?

法教育委員会って?

弁護士会には,法教育委員会というものがあります。法教育と言っても何をしている委員会なのかピンとこないかもしれませんね。簡単に説明すると,平等って何?権利って何?といった,法や社会のルールの背景にある基本原理には,どのような目的や価値があるのかということを,国民一般に知ってもらおうということを目的とした委員会です。法教育についての詳しい内容は,法務省のホームページを参照して下さい。   

  http://www.moj.go.jp/content/000004217.pdf

 

何故,法教育が必要なの?

政治の面で言えば,国民が政治参加していなければ,民主国家として機能していないわけですが,現状は政治に対する関心が薄く投票率も低いという状態です。

司法の面で言えば,裁判員裁判が機能し始めたことで,より刑事事件が身近にはなってきているものの,未だに,弁護人が悪人の味方をするとの批判がなされたりします。また,民事事件においても,法の無知による泣き寝入りや法に反しない限り何をやっても構わないとの利己主義的な権利行使の態度が見られたりもします。

このような,社会の現状を改善するためには,法律専門家ではない一般国民が,平等って何なの?権利って何なの?といった法の基本原理を学んで,政治や司法の在り方が,法の基本原理と合致しているかをチェックしていくことが必要なのです。

 

どんなことしているの?

   そこで,沖縄弁護士会も,法教育を普及させていくために,様々な活動をしております。

  具体的な活動としては,現在,桜坂市民講座を利用して,そこに弁護士を数人派遣して,裁判傍聴と弁護士による解説を行い,刑事裁判の仕組みや裁判官,検察官,弁護士の役割を広く市民に知ってもらうといった活動をしております。

  更に,平成24年度は,夏休みを利用して,県内の小学生を対象に,ルール作りとそのルールを用いた模擬裁判等の体験をしてもらうといった内容のジュニア・ロースクールを実施予定です。

 

法教育委員会を利用して下さい

   私は,これまで,上に挙げた「刑事裁判の傍聴と弁護士による解説」の講座の講師を担当させて頂きました。今の刑事司法制度が本当に健全に行われているかを国民に知ってもらうためにも本講座は重要な講座であると考えていましたが,私が考えている以上に,講座に参加された市民の皆さまの意識はかなり高く,傍聴した裁判の検察官の求刑は低くないか?警察等が作成した供述調書は原則として何故に提出できないのか?といった積極的な質問がなされ,講座を通じて私自身も刺激を受けております。

 

  「現在の裁判員裁判は,裁判員を裁判所が説得して裁判所の判断を裁判員に押し付けるものだ。結果として,裁判所の判断に国民のお墨付きを与えるだけのものでしかない。」といった批判も為されています。今後,裁判員裁判の判決に裁判員の方々の積極的な意見が反映されていくためにも,弁護士会として,法教育の普及に努めていきたいと考えております。

  市民のみなさん,特に学校関係者の方々,是非,弁護士会の法教育委員会を活用して法教育の普及にご協力ください。共により良い社会づくりを実現していきましょう。

 

沖縄弁護士会

会員 亀川 偉作

 

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