法律コラム

 

環境問題に対する沖縄弁護士会の取組み

温暖化対策の重要性,緊急性

 近年,「エコ」という言葉を耳にする機会が増えました。

20世紀以降,人類は,物質的な豊かさを追求し,大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムのもと,多くのかけがえのない自然環境が破壊されてきました。大気中への温室効果ガスの大量排出による地球温暖化により,地球規模で進行する気候変動,環境破壊が加速度的に進行しています。この結果,人類を含む地球上のあらゆる生命の存続基盤が脅かされるに至っています。
このように,環境問題,とりわけ地球温暖化問題は,極めて重要な問題です。そして,平和的生存権が全ての人権の基底的な権利だと主張されるように,地球温暖化を防止し,地球環境を保護することは,すべての人が人間らしく生きていくための基礎であり,我々法律家が取り組むべき極めて重要な人権課題なのです。

このように,環境問題が人権課題そのものであることに鑑み,沖縄弁護士会は,社会正義の実現・人権擁護を使命とする弁護士の団体として,地球規模で進行する環境問題に取り組んでおります。

2008年(平成20年)5月28日には,当会定期総会において,沖縄弁護士会環境宣言を採択し,地球環境への負荷を可能な限り低減するための行動計画を策定し,実行することを宣言しました。

 

KES登録

その後,環境宣言に基づき,沖縄弁護士会における組織運営にあたって環境への負荷を管理・低減するための環境マネジメントシステムの導入を目指してきたところ,2011年(平成23年)2月,沖縄弁護士会は,環境マネジメントシステムの規格の一つである特定非営利活動法人KES環境機構による「KESステップ1」を取得し,KES登録事業所となりました。
沖縄県においては,これまで,KES登録事業者が存在しなかったため,当会が,沖縄県におけるKES登録第一号事業所です。

 

KESとは

 KES(Kyoto Environment Management System Standard)は,「環境マネジメントシステム」の規格の一つです。「環境マネジメントシステム」とは,企業等の経営に当たって環境への負荷を管理・低減するための仕組みです。これは,環境負荷の低減を目的として,計画をたて(Plan),実施し(Do),結果を検証し(Check),再び計画を立て直す(Action)といった一連のマネジメントを実施するシステムのことです。環境マネジメントシステムには,国際規格ISO14001がありますが,中小企業には人・物・金等経営資源の問題により取得が困難なことから,より分かりやすく取り組みやすい規格として誕生したのがKESです。

 

沖縄弁護士会の取組み

 KES登録にあたり,沖縄弁護士会が特に重点的に取り組んでいる項目は,電力使用量の削減,事務用紙使用量の削減,環境適合事務用品の購入,環境啓発活動の4テーマです。当会では,この4テーマを中心に,環境負荷の低減を実践しております。

 このように,当会が沖縄県におけるKES登録第一号事業所となっておりますので,今後も,当会が,地域の模範となり,率先して環境問題についての啓発,意見表明,研修等さまざまな活動を行って参りたいと思います。

「環境の世紀」といわれる21世紀,市民も企業も行政も,誰しもが口をそろえて環境問題の重要性を唱えるようになり,環境保全意識が高まってきたといえます。我々は,法律家団体としての役割を自覚し,今後も,市民と共によりよい地球環境づくりのための実践を行っていく所存ですので,よろしくお願いします。

 

沖縄弁護士会
会員 横江 崇

 

前のページへ戻る