再審制度とは
再審制度とは
Q.最近よくニュースとなる袴田事件で問題となっている刑事裁判の再審制度とはどういうものですか。日本では再審開始までにとても時間がかかると聞いたのですが、なぜですか。
A.再審とは、誤判により有罪の確定判決を受けた冤罪被害者を救済することを目的とする制度です。
最近再審開始が決まった袴田事件は、1966年6月、静岡県で発生した強盗殺人・放火事件です。袴田巌さんがその犯人とされ、68年、静岡地裁で死刑判決を言い渡されました。80年、上告が棄却され、死刑が確定しました。
81年の第一次再審請求は、2008年に最高裁において棄却されました。同年、第二次再審請求がなされ、この手続の中で、裁判所の勧告もあり、さまざまな証拠が新たに弁護人に開示され、14年にようやく、静岡地裁は、再審開始決定を出しました。ところが、検察官から不服申立てがなされ、その後、東京高裁、最高裁、東京高裁での審理を経て、本年3月ようやく再審開始が確定しました。一審の死刑判決から55年を要しています。
刑事訴訟法は、刑事手続全般を規定し、全体で507条ありますが、再審に関連する規定はわずか19条です。証拠開示手続きに関する規定もなく、再審に結びつく証拠があったとしても、証拠が弁護側に開示されるかどうかは、担当裁判官次第です。また、検察官は再審開始決定に対し不服申立てができるので、再審開始が確定するまで何年もかかることになるのです。
10月21日(土)、県教職員共済会館八汐荘において、袴田事件の弁護人や再審開始決定を担当した元裁判官を招き、再審制度のシンポジウムが開催されます。どなたでも参加無料ですので、ぜひご参加下さい。
沖縄弁護士会
会員 伊集 朝也
※琉球新報2023年9月25日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。