法律コラム

 

暴力団離脱者支援は

暴力団離脱者支援は

 
Q.暴力団離脱者を支援する意義は、どのようなところにあり、その内容はどういうものでしょうか。支援が悪用されることはないのですか。
A.暴力団を排除するためには、厳しい規制を課し市民生活から排除することも大事ですが、組員に対して、暴力団からの離脱を促し、離脱を希望する場合にはその社会復帰を支援していくことも重要です。離脱を希望しても、組織からの制裁を恐れ離脱できないことや、うまく離脱できたとしても行き過ぎた社会排除や生活苦から脱することができず、結局、暴力団に戻ってしまうということが少なくありません。
 

 このような事態は、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」社会を実現する上でも、暴力団排除の目的を達成する上でも、望ましいものではありません。

 

 警察は、離脱希望者が組長から離脱承諾書を取得する際に支援しています。暴力団追放県民会議が離脱後の就労支援をおこなっています。また、離脱後間もない人が、組員と同様に金融機関で預金口座を開設することができず、社会復帰の大きな障害となっていることを受け、沖縄弁護士会と金融機関が協議を重ねています。そして、警察、県民会議、弁護士会が密に連携を取り、離脱希望者の背中を押す体制を整えています。

 

 暴力団組員であることに伴う種々の社会的制約を回避する目的で、実際には離脱する意思がないのに形式上離脱したこととする「偽装離脱」には注意しなくてはなりません。支援機関は「偽装離脱」ではないかどうか慎重に見極め、離脱の意思が真摯なものであると判断できる場合に限り支援しています。暴力団離脱者の支援は、市民一人一人のご理解がなければ推進することは困難です。皆様のご理解とご協力をお願いします。

沖縄弁護士会
会員 大澤 系太
 
 
※琉球新報2023年8月21日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

前のページへ戻る