所有者不明地から伸びる枝 来年以降は切除可能に
Q 隣地が管理されておらず、竹木が茂っていて最近では枝の一部が私の土地に越境してきました。法務局で不動産登記簿を確認して隣地の所有者を調べましたが分かりませんでした。勝手に枝を切ってもいいでしょうか。
A 死刑制度については、弁護士間でも賛否が分かれる難しい問題です。沖縄弁護士会はさまざまな立場から議論した末に、3月11日の総会で「死刑の代替刑を導入するとともに、犯罪被害者支援の抜本的拡充をした上で、死刑制度を廃止すべきである」旨の決議をしました。
越境してきた枝を勝手に切ってはいけません。
このケースのように竹木を所有する隣地所有者が不明の場合、所有者に代わって財産を管理する人(管理人)を裁判所に選任してもらった上で、その人に対応してもらう必要があります。ただ、管理人の選任手続に要する時間や費用のために躊躇してしまうことも残念ながらあるようです。
この点について先日、民法が改正されました。改正法の施行(2023年4月予定)以降は竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない時は、越境された土地の所有者自身で枝を切ることが可能となります。今回のように不動産登記簿を確認しても、土地の所有者が分からないケースは少なくありません。原因の1つは、相続登記がなされず、亡くなった方の名義のままになっていることが挙げられます。このため、相続登記が義務化されることとなっています(24年4月施行予定)。
また現状では、裁判所が選任した管理人が管理不全な不動産を含む所有者(行方不明者等)の全ての財産を管理することとなりますが、これは一部の不動産について管理の適正化が図れれば足りると考えている方にとっては効率が悪く、利用しにくいこともあります。これに対応するため今後、特定の不動産のみの管理に特化した財産管理制度が導入される予定です(23年4月施行予定)。
所有者が不明な不動産の問題や相続等についてお困りの際は、ぜひ沖縄弁護士会の法律相談をご利用ください。
沖縄弁護士会
会員 吉本 隼
※沖縄タイムス2022年9月5日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。