法律コラム

 

借金も相続か

借金も相続か

 
Q.幼い頃に両親が離婚し、長年連絡を取っていなかった父が亡くなったと行政から連絡がありました。住んでいた家を訪ね、遺品を整理したところ、どうやら多額の借金があったようです。この借金は私が代わりに払わなければならないのでしょうか。父の持ち家についても私が管理していかなければならないのでしょうか。
A.民法においては、被相続人(この場合はお父さんのこと)に借金がある場合などには「相続放棄」という手続きを取ることが認められています。被相続人の死亡を知ってから3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄の手続きをとる必要がありますが、生前、被相続人との交流が乏しく被相続人に借金があることを知らなかった場合、借金があることを知ってから3カ月以内であれば、手続きができる場合があります。相続放棄をした場合には、お父さんの借金を代わりに支払う必要は無くなります。
 

 ただ、相談者の方が相続放棄をすると、後順位の相続人となるお父さんの両親(相談者の方からすれば祖父母)やご兄弟も相続人となりますので、ご注意ください。また、相続放棄は全財産が放棄対象です。借金のみ放棄し、不動産は相続する、といったことはできません。

 

 次に、お父さんの住んでいた持ち家の管理について、現行の民法では不明確でしたが、令和5年4月1日から施行される改正民法では①放棄時に「現に」占有している相続財産について②相続人等に引き渡すまでの間、管理する義務を負うことが定められており、改正民法によれば、今回の場合、相談者の方は現に占有していたとまではいえず、管理義務を負う必要は無いことになる可能性が高いです。相続問題にお悩みの方は、弁護士までご相談ください。

沖縄弁護士会
会員 丹治 健太郎
 
 
※琉球新報2022年12月26日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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