法律コラム

 

消費者被害 相談する勇気を持とう
消費者被害 相談する勇気を持とう

 弁護士を始めた約20年前から長く消費者問題に関わってきましたが、県内での消費者被害は後を絶ちません。中でも悪質業者による投資や出資を募るものが多く、かつては健康食品、今では仮想通貨と投資の対象は変わっても、「必ずもうかる」と勧誘されたり、知人に紹介されたりして投資したが、業者が破綻してしまったという被害態様はあまり変わっていません。裁判をしたとしても、業者が既に破綻しているため投資したお金を取り返せないことが多いです。消費者被害を防ぐには予防が一番で、そのためには消費者教育が重要です。


 令和4年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これまで未成年者取消権によって守られていた18~19歳の若年層が消費者被害に遭う可能性があります。これに対しては国が新たな取消権の創設をするなどの対応も重要ですが、新たに成人になる方たちが自ら被害に遭わないよう注意し、予防していくことも大事です。そのためには、被害実態と対策を知るための消費者教育がより大切になるでしょう。沖縄弁護士会はなお一層、消費者教育に取り組まなければならないと考えています。


 「被害に遭ったかもしれない」と思ったら、すぐに周りの人に相談すること、加えて弁護士等専門家にアドバイスを求めることがとても重要です。恥ずかしいと感じて言い出せない場合もあるかもしれませんが、誰かに一言でも打ち明ける勇気を持ってください。相談できれば、被害を未然に防いだり、最小限に抑えられたりする可能性が出てきます。逆に相談が遅れると被害を広げる危険性があります。消費者被害に遭ったかもしれないと思った方、その相談を聞いた方はすぐに沖縄弁護士会にご相談下さい。電話は098(865)3737。

             

沖縄弁護士会

会長 田島啓己 

※沖縄タイムス2022年4月25日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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