法律コラム

 

暴力団離脱者へ支援

暴力団離脱者へ支援

 
Q.最近、暴力団員を減らし暴力団を弱体化させるために離脱者支援が進められていると聞きましたが、どのようなものでしょうか?
A.暴力団から市民生活を守るため、暴対法や暴排条例が制定され、政府においても反社会的勢力による被害を防止するための指針が発表されています。このような対策が功を奏し、暴力団排除の風潮は世間に浸透し、暴力団員は預金口座を開設することができない、アパートを借りることができないなど、社会生活が大幅に制約されています。
 

 このような状況を反映して、暴力団員数はピーク時の3分の1以下に激減しています。しかし、暴力団を離脱しても社会に受け入れられなければ、彼らは再び反社会的勢力に舞い戻ってしまいます。そこで、暴力団から離脱した者の社会復帰を支援する活動が重要になります。

 

 暴力団から離脱する上での障害として、①組織からの制裁②離脱後の生活不安―が挙げられます。①に対しては、警察により、組長から離脱承諾書を取得する際の支援がなされています。②に関しては、各都道府県に設置されている暴力追放運動推進センター(沖縄県においては暴力団追放沖縄県民会議)による就労支援がなされています。

 

 弁護士も離脱希望者から相談を受けて支援に取り組む場合があります。なぜ、元暴力団員を支援しなければならないのかとの疑問もあると思います。しかし、離脱者を社会が受け入れることで、暴力団員の数を減らしていくことができます。これにより暴力団を弱体化させ、安全・安心な社会の実現につなげていくことができます。つまり、離脱者支援は、皆さん一人一人に関わる問題なのです。皆様の周りで離脱者支援が話題に上がることがありましたら、何卒、ご理解とご協力をお願いします。

沖縄弁護士会
会員 石川 健一郎 
 
 
※琉球新報2022年4月19日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

前のページへ戻る