法律コラム

 

仮想通貨の投資被害

仮想通貨の投資被害

 
Q.先日、知人から、仮想通貨への投資に誘われました。知人は「絶対もうかる」「元本を下回ることは絶対ない」と言っていました。そこで私は預金を崩して投資をしたのですが、その仮想通貨は価値が乱高下して値下がりし損が出ました。解約して残金を返してもらおうとしても日本円に換金が難しいなどの理由で返してもらえません。インターネットでも同様の話を見掛けましたが、最近こういったことが増えているのでしょうか。
A.このようなケースは投資被害と呼ばれます。仮想通貨への投資の場合、元本保証はありません。投資被害の場合、セミナー等で仮想通貨投資へのメリットが強調されます。その際、仮想通貨への投資によって大きな利益を得た人の話を聞く機会があります。しかし、これは一部の方が利益を得た可能性があるだけで、全員が利益を得られるとは限りません。実際に、仮想通貨の投資を呼び掛けた会社が倒産する事態が生じております。また、仮想通貨の名を借りただけの、まがい物による詐欺も横行して被害が広がっています。このような場合、仮に詐欺だとしても投資資金の回収は非常に難しく、いくら被害があっても、これを回復する手段がほとんどありません。
 

 また、投資詐欺の場合、自身が良い話を聞いたとして、ほかの知人を誘うケースがあります。上記のように、全員が利益を得られるとは限りませんので、被害者であると同時に加害者にもなることがございます。

 

 そのため、仮想通貨への投資を行う場合、投資対象としてはリスクが高い分野であり、投資金額が戻ってこない可能性があること、そして、知人を誘う際、自身が加害者となりうることを念頭に慎重に判断すべきです。このような被害は最近増えています。ぜひご注意ください。

沖縄弁護士会
会員 仲座 利哉 
 
 
※琉球新報2022年3月29日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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