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沖縄弁護士会 規則集

 

沖縄弁護士会弁護士等の職務における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針

投稿日:2021年07月12日

沖縄弁護士会弁護士等の職務における障害を理由とする
差別の解消の推進に関する対応指針


第一 趣旨
1 障害者差別解消法の制定の経緯
 我が国は、平成19年に障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)に署名して以来、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の改正を始めとする国内法の整備等を進めてきた。障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)は、障害者基本法の差別の禁止の基本原則を具体化するものであり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害者差別の解消を推進することを目的として、平成25年に制定された。

2 法の基本的な考え方
(1) 法の対象となる障害者は、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者、すなわち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」である。これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難治性疾患その他の心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとの、いわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえているものであるから、このような観点から「障害」の定義は、漏れのないよう広く解釈すべきものである。したがって、法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。また、障害には、過去の障害又は将来の障害も含むため、例えば精神病歴がある者やハンセン病元患者、まだ発症していないHIV感染者に対する差別等も法に規定する障害を理由とする差別となり得る。なお、高次脳機能障害は、精神障害に含まれる。
 また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する必要がある。
(2) 法は、日常生活及び社会生活全般に係る分野を広く対象としている。ただし、事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、法第13条の規定により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによることとされている。
(3) 法は、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号。いわゆるバリアフリー法)に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス、介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることとしている。新しい技術開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待される。また、環境の整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれることが重要である。
障害者差別の解消のための取組は、このような環境の整備を行うための施策と連携しながら進められることが重要である。

3 対応指針の位置付け
この指針(以下「対応指針」という。)は、障害を理由とする不当な差別的取り扱い及び社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮に関し、弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士、外国法事務弁護士法人、沖縄弁護士及び準会員(並びにこれらの者の事務所に勤務する者(以下「弁護士等」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めたものである。

4 留意点
対応指針で「望ましい」と記載している内容は、弁護士等がそれに従わない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する。
弁護士等における障害者差別解消に向けた取組は、対応指針を参考にして、弁護士等により自主的に取組が行われることが期待される。

第二 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方
1 不当な差別的取扱い
(1) 不当な差別的取扱いの基本的な考え方
弁護士等は、その職務を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と比べ不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
ア 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所・時間帯などを区別する若しくは制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。
なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。
イ したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。不当な差別的取扱いとは、「障害又は障害に関連する事由を理由とする区別、排除又は制限その他の異なる取扱いであって、正当化されないもの」である点に留意する必要がある。 
 (2) 正当な理由の判断の視点
正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合である。弁護士等においては、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者、弁護士等、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。正当化事由の立証責任は、行為者の側にある。弁護士等は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
(3) 不当な差別的取扱いの具体例
不当な差別的取扱いに当たり得る具体例等は別紙のとおりである。なお、(2)で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、別紙に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。


2 合理的配慮
(1) 合理的配慮の基本的な考え方
弁護士等は、その職務を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(黙示の意思の表明及び本人が社会的障壁の除去を必要としていることが客観的に認識し得る場合を含む。)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をしなければならない。
ア 権利条約第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。
法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、事業者に対し、その事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(黙示の意思の表明及び本人が社会的障壁の除去を必要としていることが客観的に認識し得る場合を含む。)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。
合理的配慮は、弁護士等の職務の目的・内容・機能に照らし、業務に必要とされる範囲で提供されるべきであること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることに留意する必要がある。
イ 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「(2)過重な負担の基本的な考え方」に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。
なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮に加え、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。
ウ 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害、発達障害等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めるものとする。
エ 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。
 (2) 過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については、弁護士等において、具体的な検討をせずに拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。「過重な負担」についての立証責任は弁護士等にある。弁護士等は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
○職務・事務への影響の程度(職務・事務の目的・内容・機能を損なうか否か)
○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約の有無又はその程度)
○費用・負担の程度
〇事務・事業規模
〇財政・財務状況
(3) 合理的配慮の具体例
合理的配慮を行うことは弁護士等の努力義務とされているものであり、その具体例は別紙のとおりである。なお、第二の2(1)イで示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、掲載した具体例については、第二の2(2)で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例に限られるものではないことに留意する必要がある。弁護士等においては、対応指針を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待される。

第三 弁護士等における対応体制の整備
弁護士等においては、障害者及びその家族その他の関係者からの問合せ、障害を理由とした合理的配慮の要望等に的確に対応するため、対応窓口の設置等の対応体制の整備を行うことが重要である。また、ウェブサイト等を活用し、対応窓口等に関する情報を周知することや、対応時の配慮として、対面のほか、電話、FAX、電子メールなどの多様な手段を用意しておくことが望ましい。さらに、実際の問合せや要望の事例については、相談者・依頼者等のプライバシーに配慮しつつ、当該弁護士等において順次蓄積し、以後の合理的配慮の提供等に活用することが望ましい。

第四 弁護士等における研修・啓発
弁護士等は、障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談・依頼等に的確に対応するため、弁護士会が開催する研修会に参加する等して自ら研鑽するとともに、事務所全体での研修等を通じて、法の趣旨の普及を図るとともに、障害に関する理解の促進を図ることが重要である。

 


別紙 
 

障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮等の具体例

 

1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例
 障害者であることを理由として、以下の取扱いを行うこと。
○窓口対応を拒否し、又は対応の順序を劣後させること。
○資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウム等への出席等を拒むこと。
○客観的に見て、人的体制、設備体制が整っており、対応可能であるにもかかわらず、正当な理由なく対応を拒否したり、対応に当たり、来訪の際に付添者の同行を求めるなど、正当な理由のない条件を付すこと。
〇障害者からの法律相談は、支援者の申込みや同席がなければ一律に受け付けないとすること。

2 不当な差別的取扱いに当たらない具体例
 ○合理的配慮の提供等のために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認すること。

3 合理的配慮の具体例
(1) 物理的環境への配慮の具体例
〇障害者用の駐車場について、障害者でない者が利用することのないよう注意を促すこと。
○弁護士等が管理する施設・敷地内において、車椅子・歩行器利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと。
○配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡すこと。パンフレット等の位置を分かりやすく伝えること。
○目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりすること。
〇疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難である場合に、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させる等して臨時の休憩スペースを設けること。
〇障害者に対し、法律事務所までのアクセスに関するバリア情報等を提供すること。
(2) 意思疎通の配慮の具体例
○筆談、読み上げ、手話、点字など多様なコミュニケーション手法、分かりやすい表現を使って説明するなどの意思疎通の配慮を行うこと。
○情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字、テキストデータ又は点字を用いた資料)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。その際、各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用すること。
〇障害者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対すること。
○意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認すること。
〇書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりすること。
○比喩表現等が苦手な障害者に対し、直喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明すること。
(3) ルール・慣行の柔軟な変更の具体例
○事務手続の際に、職員等が必要書類の代読・代筆を行うこと(法令に特段の定めがある場合を除く。)。

 

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