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沖縄弁護士会 規則集

 

沖縄弁護士会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領

投稿日:2021年07月12日

沖縄弁護士会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領

(目的)
第1条 本会は、障害を理由とする不当な差別的取扱いを行ってはならず、障害 のある人に合理的配慮を提供すべきものであり、障害を理由とする差別の解 消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第8条に規定する事項に関し、本会職員(派遣労働者及びパートタイム職員を含む。(以下「職員等」 という。)が適切に対応するために必要な事項を対応要領として定めるものとする。

(不当な差別的取扱いの禁止)
第2条 障害(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病をいう。)その他の心身の機能障害をいう。以下同じ。)を理由として、障害者(障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又 は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。以下同じ。)でない者と比べ不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。この場合において、職員は、別紙に定める事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)
 第3条 職員は、法第8条第2項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(黙示 の意思の表明及び本人が社会的障壁の除去を必要としていることが客観的に認識 し得る場合を含む。)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないと きは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を提供しなければならない。この場合において、職員は、別紙に定める事項に留意するものとする。

(監督者の責務)
第4条 会長及び会長が指名する者は、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次に掲げる事項に留意して障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう注意し、また、障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう環境の整備を図るよう努めなければならない。
 (1) 日常の執務を通じた指導により、障害を理由とする差別の解消に関し、その監督する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。
 (2) 障害者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。
 (3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。
2 会長及び会長が指名する者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合は、迅速かつ適切に対処しなければならない。

(相談体制の整備)
第5条 職員による障害を理由とする差別に関し、障害者又はその家族等からの相談等に的確に対応するため、本会に相談窓口を設け、障害を理由とする差別に係る相談を希望する者は、次に掲げる者に相談を申し出ることができる。
 (1) 会長
 (2) 会長が指名する者
2 相談等を受ける場合は、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するとともに、 対面のほか、電話、ファクシミリ、電子メールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。
3 第1項の相談窓口に寄せられた相談等の情報は、相談者のプライバシーに配慮しつつ関係者間で情報共有を図り、以後の相談等において活用することとする。
4 本会は、必要に応じ、第1項の相談窓口の充実を図るよう努めるものとする。

(研修・啓発)
第6条 本会は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、 障害者の権利に関する条約の趣旨を踏まえ、障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要な研修・意識の啓発を行うものとする。特に障害、差別、合理的配慮等の概念や基本的な考え方について十分な研修を行うものとする。
2 新たに職員となった者に対しては、障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項について理解させるために、また、新たに管理職となった職員に対しては、障害を理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、それぞれ、研修を実施するものとする。
 

 


附則
この要領は、2019年(令和元年)6月10日から施行する。

別紙

沖縄弁護士会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する
対応要領に係る留意事項

第1 障害者の対象範囲等
「障害」とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害」をいうのであり、「障害者」とは、「障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」をいい、沖縄弁護士会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(以下「対応要領」という。)が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られないことに留意すること。なお、高次脳機能障害は精神障害に含まれ、過去の障害又は将来の障害も「障害」に含まれるため、例えば精神病歴がある者やハンセン病元患者、まだ発症していないHIV 感染者に対する差別等も障害を理由とする差別となり得る。障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえ、「障害」の定義は漏れのないように広く解釈すべきものである。
また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意すること。

第2 不当な差別的取扱いの基本的な考え方
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否すること、提供に当たって場所・時間帯などを区別する若しくは制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。
ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。
不当な差別的取扱いとは、「障害又は障害に関連する事由を理由とする区別、排除又は制限その他の異なる取扱いであって、正当化されないもの」である点に留意する必要がある。
不当な差別的取扱いには、間接差別(外形的には中立の基準、規則、慣行ではあってもそれが適用されることにより、結果的に他者に比較し不利益が生じる場合。例えば、「代筆禁止」というルールが結果的に視覚障害者にとって申込書などを提出できない不利益になる。)及び関連差別(障害に関連する事由を理由とする区別、排除、制限その他の異なる取扱いであって、正当化されないもの。例えば、「盲導犬同伴お断り」というルールが実際上、盲導犬を同伴する視覚障害者を排除する差別になる。)が含まれる。

第3 正当な理由の判断の視点
正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合である。沖縄弁護士会においては、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び本会の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めるものとする。

第4 不当な差別的取扱いの具体例
不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第3で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。
(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)
○障害があることを理由に窓口対応を拒否する。
○障害があることを理由に対応の順序を劣後させる。
○障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。
○障害があることを理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。
○事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来会の際に付添者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付添者の同行を拒んだりする。
○本会の施設及び施設を利用する者に対する著しい損害発生のおそれ、その他のやむを得ない理由がないのに、身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)の同伴を拒む。
○知的障害があるために、権利侵害をうまく申告できない場合に、申立書の内容が分かりにくいことを理由に、人権救済申立ての受付を拒む。
○障害への理解がないことで、混乱してパニックになっている発達障害のある人を、必要なくいきなり押さえつける。

第5 合理的配慮の基本的な考え方
1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。
法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものである。
合理的配慮の定義は、「社会的障壁の除去を実施するための必要かつ合理的な現状の変更及び調整で、過重な負担を伴わないもの」とする。
合理的配慮は、本会の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、業務に必要とされる範囲で提供されるべきであること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであることに留意する必要がある。
2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、第6に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。
合理的配慮として行いうるものが複数存在する場合は、障害者の希望に沿ったものを行うことを原則としつつ、双方の利益と負担を考慮して決定されていくこととなる。
なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮に加え、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。
3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害、精神障害、発達障害等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含むものである。但し、家族や支援者を同伴する場合も、障害者本人の意思を尊重するよう、十分に注意する必要がある。
  なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働き掛けるよう努めるものとする。
4 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。
5 本会がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。

第6 過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については、具体的な検討をせずに拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めるものとする。
○事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か)
○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約の有無又はその程度)
○費用・負担の程度

第7 合理的配慮の具体例
第5で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものがある。
なお、記載した具体例については、第6で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例)
○障害者用の駐車場について、障害者でない者が利用することのないよう注意を促す。
○段差がある場合に、車椅子・歩行器利用者のためにキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡すなどする。
○配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく伝える。
○目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。
○障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。
○疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難である場合に、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける等の対応を行う。
○不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。


(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例)
○筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字、拡大文字などのコミュニケーション手段を用いる。
○会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。
○視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。
○意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。
○駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。
○書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。
○比喩表現等が苦手な障害者に対し、直喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明する。

○知的障害者には、問われている内容がわかるように支援する者の同席を認める。
○障害者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。

○情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字、テキストデータ又は点字を用いた資料)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る等)を行うこと。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)
○順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得られる場合には、手続順を入れ替える。
○立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、施設の状況に応じて、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。
○スクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。スライド上映のために照明を消すときに、手話通訳者がいる場合は、それが見えるように部屋の全部又は一部の照明をつけたままにする。
○車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。
○敷地内の駐車場等において、障害者の来会が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。
○他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備する。
○非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。

 

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