少年事件
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少年事件に関する相談
Q1:息子が逮捕されてしまいました。今後どのようになりますか。また、弁護士はどのようなことをしてくれますか?

 
Q.逮捕された後はどうなるのですか?

 

A.少年(20歳未満の子)が逮捕されると,成人の場合と同じく,事件について最大3日間の逮捕,引き続き最大10日間の勾留がなされることがあり,さらに最大10日の勾留延長がなされることがあります。その間,少年は警察の留置場等に留め置かれ,身体拘束を受けることになります。
その後,事件が家庭裁判所に送られます(Q2参照)。
 

【解説】
逮捕は,特定の事件について,最大72時間の身体拘束を受ける手続きです。身体拘束を受ける場所は,警察署の留置場です。少年に対する取り調べは逮捕時から行われます。逮捕時は,保護者等は少年と面会をすることはできませんが,衣類等の差し入れをすることはできます。逮捕時から私選弁護人を依頼することが可能で,弁護人はこの段階から少年と面会できます。身に覚えのない事件で少年が逮捕された場合,逮捕の段階から私選の弁護人が付くことは非常に有益です。


逮捕後,通常は引き続き最大10日間の勾留をされます。勾留は,最大10日間の身体拘束を受ける手続きです。勾留の手続きにおいては,法律上,原則として少年鑑別所に収容することになっていますが,実際の運用では警察の留置場に留め置かれることが一般的です。この段階から,接見禁止決定がされていなければ保護者等も少年と面会することができます。接見禁止がなされている場合には,弁護人が少年と保護者等との重要な橋渡し役となります。また,この段階から,私選弁護人を依頼する他,事件によっては国選弁護人を依頼することができるようになります。
 

 勾留期間は,最大10日間延長されることがあります。この逮捕から勾留延長期間満了までの間に,事件が家庭裁判所に送られます(Q2参照)。ただし,少年が犯罪を行った疑いがない場合は,事件が家庭裁判所に送られないこともありますし,逮捕されていた事件とは別の事件で再逮捕されることもあります。
 


逮捕されてからの一般的な手続きの流れ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


逮捕後のフロー図 

 

 

 

Q.弁護士はどのような事をしてくれますか?

 

A.事件が家庭裁判所に送致されるまでの間,弁護人として,少年の味方になることができます。弁護人を付ける制度として,少年の親等が契約して依頼する私選弁護人と,少年の申し出に基づいて弁護人が選任される国選弁護人の制度があります。

 

【解説】
弁護人は,立会人なしに少年と面会することができ,少年のために助言を行ったり,関係者と交渉したり,その他弁護に必要な活動を行います。一般的に,少年は成人と比べ心身が未発達のため,誘導や誤導をされるなど防御能力が低く,法律専門家である弁護人の助力が必要です。


弁護士に,弁護人となることを依頼する制度として,私選弁護人の制度と国選弁護人の制度があります。
私選弁護人は,少年の親等が弁護士と契約して弁護を依頼するもので,私選弁護人の制度は,少年が勾留される前の逮捕の段階から利用することができます。特に,事実関係に争いがある事件の場合,早めに弁護人を選任することが,少年の防御のために重要です。


国選弁護人は,少年の申し出に基づいて裁判所が弁護人を選任するものです。国選弁護人の制度は,一定の事件(最大3年を超える懲役又は禁錮が法定刑として定められている罪に関する事件)について,勾留手続き後に利用できます。


弁護人の職務は,事件が家庭裁判所に送致されるなど,勾留手続きの終了により終結します。事件が家庭裁判所に送致された後については,Q2をご参照下さい。
また,こちらもご参照下さい。

 

 

Q2:息子は,「観護措置」というものをとられて,今少年鑑別所というところに居るそうです。「観護措置」とは何ですか。「少年鑑別所」とはどのようなところですか。また,弁護士が「付添人」になるとのことですが,これはどのようなことですか。

 
Q.観護措置とは?

 

A.家庭裁判所が審判・調査を行うため,少年の心情の安定を図りながら,少年の身体を保護してその安全を図る措置です。

 【解説】
少年事件はすべて,家庭裁判所に送られます。これを「家裁送致」といいます。少年が逮捕・勾留されている事件では,少年は家庭裁判所に連れていかれ,裁判官と面会し,観護措置をとるか否かの決定がなされます(逮捕・勾留されていない事件の場合であっても,家裁送致後に家庭裁判所に呼び出され,観護措置がとられることもあります)。そして,この観護措置をとられると,一般的には少年鑑別所に収容されることになります。
 

 観護措置は決して懲罰的なものではありません。鑑別所での生活で,少年が落ち着いた生活を取り戻し,自分の過去や将来について考える時間が与えられるという点では,少年にとって必要な措置である場合もあります。
 

Q.少年鑑別所とはどのようなところか?

 

A.観護措置決定を受けた少年を収容し,少年の行動を観察して心身の調査を行う施設です。
 

【解説】
少年鑑別所の中では,鑑別担当者が少年から話を聞いたり(鑑別面接),身体状況の検査や心理検査を行ったり(心身鑑別),少年に作文や日記,描画,貼り絵等の課題に取り組ませて少年の行動を観察(行動観察)する等して,少年の資質の特質や問題点,非行を行うに至った要因や再非行の危険性等を調査します。その結果が報告書にまとめられ,少年審判の資料とされます。観護措置の期間は,少年法上は原則2週間とされていますが,実務上はほとんどの事件で期間の更新がなされており,通常4週間で運用されています。(なお,重大な事件等の場合は最長で8週間まで更新されることがあります)。
 

 鑑別所では,少年の外出等は認められておらず,外部と自由に連絡をとることも認められていません。もっとも,付添人と鑑別所内で面会することは認められています。また,平日の鑑別所が面会を認めている時間であれば,近親者や,鑑別所側が必要と認める者についても,鑑別所の職員の立ち合いのもとで少年と面会をすることができます。
 

 

Q.付添人とは?

 

A.事件が家庭裁判所に送致されて手続が始まった後,少年の味方になって様々な活動をする人のことです。
 

【解説】
逮捕・勾留段階で弁護人がついていても,家庭裁判所への事件送致の段階で手続きが切り替わるため,送致の時点でこの弁護人の仕事は終了となり,新たに付添人を選任することになります。もっとも,この場合は弁護人をそのまま付添人に選任するのが一般的です。逮捕・勾留段階では弁護人がついていなくても,観護措置がとられてから,弁護士を付添人に選任することもあります。


弁護士の付添人を選任するためには,国選付添人と私選付添人の2通りの選任方法があります。国選付添人は,一部の重大事件について限定的に認められている制度で,少年の申し出に基づいて裁判所が付添人を選任する方法です。私選付添人は,少年や少年の親等が弁護士と契約して付添人を選任する方法です。資力に不安がある場合には,日本弁護士連合会が日本司法支援センター(「法テラス」と言います)に業務委託している「少年保護事件付添人援助制度」を利用して,私選付添人を選任することもできます(同制度についての詳しい説明については,お気軽に法テラスまたは沖縄弁護士会までおたずね下さい)。
 

 付添人は,観護措置によって少年が退学処分になったり職場を解雇されるような場合には,観護措置が少年の更生にとってむしろ大きな不利益となる可能性がありますので,観護措置決定が出ないように裁判所にかけあったり,事案によっては観護措置決定に対する不服申立てや取消しの申立てをする場合もあります。さらに,少年が身に覚えのない疑いをかけられている場合,付添人は証人候補者と接触を図り,その他の証拠を収集し,少年の非行事実がないことを裁判所に伝えるための準備をします。
 

 また,付添人は,少年の再犯を防止して社会復帰を円滑にするために,少年をとりまく環境の調整に向けた様々な活動を行います(これを「環境調整」といいます)。環境調整として何を行うかは事件の性質や付添人の個性により様々ですが,例えば少年と面会して少年を励ましたり,少年と共に事件の原因を考えたり,家族や学校・少年の雇用主などの関係者と相談して少年の更生にとって最善の方法を一緒に考えたりします。事件によっては被害弁償に向けた活動も行います。
 

 上記のような活動を通じて,付添人は少年審判の準備に向けた活動を行います。
 

 

 

Q3:少年審判とはなんですか。付添人(弁護士)はどのようなことをしてくれますか。また,審判の結果少年はどうなるのですか。

 
Q.少年審判とはなんですか?

 

A.少年審判とは家庭裁判所において,少年の非行事実および要保護性について審理し,少年の処遇を決定する手続きです。

 

【解説】
少年審判は,原則非公開の手続きですが,事案によっては被害者等の傍聴が認められます。

審判では,裁判官や調査官から少年や保護者に対して質問があり要保護性と非行事実について審理がされます。要保護性とは,一般的に,①非行を繰り返す危険性(累非行の危険性)と②家庭裁判所が処遇として保護処分を選択する相当性(保護相当性)からなると考えられています。成人の刑事事件とは異なり,原則として証人尋問などの証拠調べは行われません。少年の保護者も少年の横に座って少年と一緒に審判の手続きに参加します。少年が犯罪を犯す背景として家庭の事情はどうしても切り離せないからです。また付添人(弁護士)がついている場合には,当然付添人(弁護士)も手続きに参加します。
 

 審判は,通常であれば1回あたり1時間程度です。重大事件や事実関係に争いのある案件でなければ,1回目の審判で終局決定がされます。
 


Q.付添人(弁護士)は審判に際しどのようなことをしてくれますか?

 

A.審判において,少年が適正な処遇を受けられるように意見書を書いたり,少年に有利な事情を裁判所に伝えるように活動します。
 

【解説】
付添人は,審判の前に,少年の非行事実に関する記録や,調査官が調べた少年の生活史,家族関係,処遇意見を閲覧し,本当に少年が非行事実を犯しているのか,少年の処遇の適性について,検討します。さらに,調査官や裁判官と審判前に事前に面接し,少年の処遇について意見をすり合わせます。また,書面を作成し,少年の処遇について意見を伝えます。


そして,審判の場では,少年が裁判所に,審判までに考えたことや意見を伝えるのを手伝います。
 

 また,少年が身に覚えのない疑いをかけられている場合,付添人は収集した少年に有利な証拠を裁判所に出し,また,意見書を書き,少年の非行事実が無いことを裁判所に伝えていきます。
 

Q.審判の結果少年はどうなるのですか?

 

A.審判の結果少年は,不処分・保護観察・少年院送致・検察官送致などの決定が下されます。
 

 

【解説】
1 不処分
犯罪等を行ったと認定できない場合(非行事実なし),保護処分の必要がないと判断された場合(保護処分不要)などは,不処分となります。不処分となると,特に制限はなく生活することができます。
 

2 保護観察
保護観察とは,少年が社会内で更生できると判断された場合に,保護観察所の指導の下で更生をはかる処分です。少年は自宅で生活することは許されますが,遵守事項に従い生活する必要があり,定期的に担当の保護司と面談し,生活や交友関係などについて保護司の指導を受けなければなりません。
 

3 少年院送致
再犯を行う恐れが大きく,少年が在宅で更生することが難しいと判断された場合などは,少年院送致となり,少年院に収容されて,規則ただしい生活の中,教科教育,職業指導をするなど,全般的な矯正教育を受けることになります。
 

4 検察官送致
14歳以上の少年について,その非行歴,心身の成熟度,性格,事件の内容などから,保護処分よりも,刑事裁判によって処罰するのが相当と判断された場合には,事件を検察官に送致することがあります。以後は,成人と同様に刑事事件として手続きが進みます。故意の犯罪行為によって被害者を死亡させたときは,原則として検察官送致の決定がなされます。